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コラム④「地域再エネ会社」は、PPAを主力事業とするべきか? (前 編)

 

 

PPAモデルは、地域の中小企業を本当にカバーできるか?
自家消費型太陽光 普及策として環境省が推奨する方法の一つに「PPA」(電力購入契約)がある。このPPAモデルは、地域の中小企業への再エネ普及策として本当に有効だろうか? 答えは「No」である。実は、PPAモデルはリスクヘッジ策を駆使した非常に複雑な取り組みであるため、事業者の視点で言うと「どうせ取り組むなら大容量の取り組み、かつ信用力の高い先と契約したい」と、こんな本音がでてくる。つまり事業者は、地域中小企業の小口案件には全く興味がない。やはり、「地域のことは地域でなんとかしなければならない」、大手には頼れないのである。

 

「地域再エネ会社」設立をお考えの行政の方に、PPAモデル組成上の主要リスクと、その対策を含めた事業会社の内部事情をご紹介しよう。

 


リスク①発電事業には、資金ショートリスクが常につきまとう

太陽光発電は、季節ごと、また日々変動する。明日の発電収益がどうなるかはお天気次第でままならない。その一方、大手のPPA事業者は全国津々浦々の屋根上に太陽光発電設備を設置し、その収益から設備投資の返済をする。つまり資金ショートリスクには最大限の注意をはらうのだ。会社運営上、潤沢な自己資金で発電設備を導入した事業者は別にして、地域の担い手によって設立された再エネ会社は、当初は人員も少ないだろうし、余裕資金もない。そんななかで、この資金収支のギャップを管理するのは並大抵のことではない。

 

しかし解決策はある。入金された太陽光収益分しか、返済しなくてよい方法。それは「歩合リース」または、「変動型リース」といわれる方法で、リースで太陽光発電設備を調達し、返済は電力収益があがった分だけ返済する。まぁ、こんな都合の良いスキームをうけてくれるリース会社は、なかなかないが交渉次第ではなんとかなる。この方法であれば、固定資産税、保険、その他メンテコストまで含んだ返済まで変動返済が可能になる場合もあり、このあたりの資金調達法は、新会社設立時の重要な考えどころになるだろう。

 

リスク➁与信リスクをヘッジしなければならない。

以前にも述べたが、PPA事業は与信ビジネスでもある。需要家に代わって太陽光発電設備を調達し、発電収益で設備投資を回収するのだから需要家に倒産されては、たまったものではない。そんななか、大手PPA事業者でさえノウハウある「審査部」を擁する先は少ない。では、どのようにして需要家の信用力を判定しているのか? 基本は、信用評価機関の評点で判断したうえ独自の与信システムなるものにかけて判断する。あるいは、与信のプロ(リース会社)と連係してPPA事業を展開しているのだ。筆者の経験上、そのコストバランスを考えても地域再エネ会社のリスクヘッジ策には、後者を推奨する。

 

スキームはこうだ。リース会社が需要家を調査し審査にパスした場合のみ、太陽光発電設備を購入し、それを地域再エネ会社にリースする。地域再エネ会社は、その設備を需要家施設に設置し発電事業を行うのだ。つまり、設備のまた貸しをすることになる。これがリース業界でいう「転リース」である。この取り組みでは、需要家が倒産した場合、地域再エネ会社は、リース会社へのリース返済が免除される「ノンリコース」契約という特約を締結することになる。審査ノウハウなき地域再エネ会社は、与信のプロであるリース会社の「審査ノウハウ」と「長期の資金調達力」を借りるのがよい。座組を検討するなか最も大切なのは資金調達のパートナーである。【「地域再エネ会社」は、PPAを主力事業とするべきか? (後編)に続く】

 

 

 代表理事 境内 行仁

 

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コラム➃.「地域再エネ会社」はPPAを主力事業とするべきか?(前編).
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コラム⑥.「地域再エネ会社」は本当に儲かるのか?
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