コラム⑫制度改定が示す電力価格の未来 ─ 電気代「実質3円/kWh値上がり」の正体 ─ 2026年11月改定を正確に読み解く
─ 2026年11月改定を正確に読み解く
電気代「実質3円/kWh値上がり」の正体
政府支援終了・託送料金改定・制度断層、三つの要因が重なった複合効果

2026年11月から大手電力各社が高圧・特別高圧料金を改定した。多くの中小企業では「なぜこんなに上がったのか」と困惑しているかもしれない。今月の値上がりは、実は一つの原因ではなく、三つの要因が重なった複合効果である。正確に分解しないと、将来の電気代予測も、Roof Plusの経済効果試算も、誤った結論を導く。
要因① 政府支援の終了(+1.80円/kWh)
2022年から続いた「電気・ガス料金支援」(高圧:▲1.80円/kWh)が、2026年10月使用分で終了した。11月使用分からこの補助がなくなるため、それだけで+1.80円/kWhの反動増が生じる。
これは制度改定ではなく「補助の終了」であり、今後の電気代予測では「あって当然の単価」に戻ったと理解すべきだ。
要因② 託送料金の改定(+0.2〜0.9円/kWh・会社によって異なる)
電力会社が発電した電気を家庭・工場へ届ける送電網(系統)の使用料を「託送料金」と呼ぶ。2024年度の再エネ拡大・系統増強投資に伴い、各社の託送料金が今回一斉に見直された。
- 北海道電力:+0.82円/kWh(託送単価 4.69→5.51円/kWh)
- 東北電力:電力量料金+0.24円/kWh+基本料金+156.80円/kW(従量換算で+0.9〜1.2円/kWh相当)
- 中部・中国・四国・沖縄:各社数十銭〜1円程度の実質値上げ
これらは「再エネの普及を支える送電網コストの応分負担」であり、エネルギー転換が進む限り今後も続く可能性がある構造的な要因だ。
要因③ 制度の断層(関西・九州:影響の性質が異なる)
関西電力は基準燃料価格を47,000円/klから37,500円/kl(▲20%)に引き下げた。旧・新制度で計算式が異なるため、過去データとの単純な比較はできない。
九州電力(500kW以上)では、燃料価格の参照期間が「3か月平均」から「3か月前の単月」に変わった。単月参照になると燃料価格のボラティリティがそのまま電気代に伝わりやすくなる。原油・LNG価格が急騰した月の3か月後には電気代が跳ね上がる可能性がある。
正しく分解すれば、Roof Plusの価値が明確になる
- 政府支援終了分(+1.80円):一時的ではなく「以前の水準に戻った」。今後の予測には反映し続ける。
- 託送料金改定分(+0.3〜1.2円):再エネ普及に伴う構造的コスト増。今後も積み上がる可能性がある。
- 制度断層(関西・九州):別系列で管理。比較基準月は12月以降を使う。
Roof Plusの経済効果試算は「現在の買電単価」を出発点とする。その単価が上昇すれば、Roof Plusで削減できる電気代も増加し、投資対効果はより大きくなる。100kW規模の事業者で買電単価が2円/kWh上昇した場合、年間節約額が約200万円追加される計算だ。
RDo電力価格研究センターからのメッセージ
電気代の値上がりは「脱炭素への投資の必然的なコスト」でもある。系統増強・再エネ拡大・LNG価格の変動は今後も電気代に影響し続ける。だからこそ「固定コストで20年間守れるRoof Plus」の価値は、今後ますます高まる。今月の改定を機に、すべてのGX導入評価書を最新単価で更新することを推奨する。
2026/11/06


