第二世代PPA 「Roof Plus」 -燃料費調整額等費用ってなに?-
GX導入評価報告書 20年間上昇率ゼロ% 比較 燃料費等調整単価「1年平均固定」の方法論
——840件・7年間データが示す基準価格の設計
GX導入評価報告書は現在の電力単価算定において、燃料費等調整単価(燃調費)を「過去1年平均値で一回固定」して加算する。この設計は一見単純に見えるが、その背景には「現時点の電気代を正確かつ公正に評価する」という方法論上の精緻な判断がある。本稿では燃調費の固定方式の論拠と、タロウ技術論文に基づく採用値の算定根拠を論証する。
RDo価格研究センター|2026年8月
1. 燃料費等調整単価(燃調費)とは
電気料金は一般に次の3要素で構成される:
電気料金単価 = 従量料金(kWh単価・夏季/その他季) + 燃料費等調整単価(燃調費) + 再生可能エネルギー賦課金 このうち燃料費等調整単価(燃調費)は、電気の生産に使うLNG・石炭・石油の市場価格変動を毎月の電気代に転嫁する仕組みである。経済産業省が定める算定方式に基づき、各電力会社が毎月改定・公表する。高騰期には1kWhあたり数円のプラス、安定期にはマイナスになることもある変動費である。
2. 「一回だけオン」設計の意味
GX導入評価報告書における電力単価の算定は次の通りである:
// 現在の電力合計単価(確定値・例:某案件) 従量加重平均単価
← 現在の電力契約から算出 + 燃調費(過去1年平均)
← 一回だけ固定加算(「一回オン」) + 再エネ賦課金(4.18円)
← 2026年度確定値 = 現在の合計単価 ≒ 25.3円/kWh
「一回だけオン」とは:
現時点の燃調費(過去1年平均実績)を合計電力単価に加算する(一回)
その合計単価を「20年間ゼロ%上昇」で固定する(以後変動させない)
将来の燃調費変動を別途加算しない(二重計算を禁ずる)
3. なぜ「二重計算禁止」が論理的に正しいか
もし「20年間ゼロ%上昇」の前提と「将来の燃調変動を上乗せ」を同時に行うとどうなるか:
二重計算の誤り
「現在単価(燃調込み)をゼロ%で20年固定」+「将来燃調が2円上昇したので加算」
→ 燃調分が初期設定に組み込まれているのに、さらに上乗せしている
→ 同じコスト要因を2回計上する二重計算
「20年間ゼロ%上昇」の前提は「燃調を含む現在の電力単価がゼロ%で続く」という意味である。将来の燃調変動を加算するなら「ゼロ%上昇」ではなくなり、前提と矛盾する。よって燃調は「現在値で一回固定」し、将来の変動は加算しないことが論理的に正しい。
4. 採用値の算定:RDo技術論文の方法論
燃調費は毎月変動するため、「現在時点の燃調費」を単月で採用するのは変動の影響を受けすぎる。過去1年平均を採用することで、エネルギー市場の短期変動を平準化した「現時点のエネルギー相場を代表する値」を得る。
RDo研究チーム(技術論文、2026年)は以下の方法で全国標準値を算定した:
データ属性 内容
対象期間 2019年10月〜2026年9月(7年間・84ヶ月)
対象電力会社 全国10電力会社(北海道・東北・東京・北陸・中部・関西・中国・四国・九州・沖縄)
対象契約 高圧・旧供給条件(需要家が実際に適用されている条件)
データ件数 840件
計算方式 全件単純平均
結果(原平均) 2.6822円/kWh
採用値 2.7円/kWh(切り上げ採用・保守的側に丸め)
5. 地域差の実態と全国標準値採用の根拠
燃調費には顕著な地域差がある。同期間の電力会社別採用値は以下の通りである:
電力会社 採用値(円/kWh) 対全国比
北海道電力 2.14 全国比−21%
東北電力 3.84 全国比+42%
東京電力EP 2.25 全国比−17%
北陸電力 2.47 全国比−9%
中部電力ミライズ 0.96 全国比−64%
関西電力 3.09 全国比+14%
中国電力 3.84 全国比+42%
四国電力 2.80 全国比+4%
九州電力 1.73 全国比−36%
沖縄電力 4.54 全国比+68%
全国標準(デフォルト) 2.7 —
最大値(沖縄電力4.54円)と最小値(中部電力0.96円)の差は4.7倍に達する。個別案件では需要家が契約する電力会社の実績値を採用するが、電力会社が未確定の場合や初期スクリーニングでは全国標準2.7円を使用する。
6. 政府支援期間の除外処理
2022〜2023年に政府は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により電気代を一時的に引き下げた。タロウ技術論文のデータはこの補助金適用前の実勢単価を採用しており、政府支援による「見かけの低下」を燃調費の低下と誤認しないよう処理されている。
7. まとめ:一回固定の方法論的正当性
燃調費を「過去1年平均・一回固定」する方式の正当性は3点に集約される:(1)現時点の電気代に燃調費を含めることで実際のコストを正確に反映する、(2)20年間ゼロ%上昇の前提と一貫している(二重計算禁止)、(3)全国840件・7年間データによる統計的妥当性を持つ採用値を使用する。この設計は「電力価格予測を使わない最保守的比較」という方法論の完結性を保つ不可欠な要素である。
本稿引用データ
論文 技術論文「燃料費等調整単価の長期平均算定と地域差分析」(RDo研究センター・2026年)
データ 2019年10月〜2026年9月・全国10電力・高圧旧供給条件・840件・政府支援前実績値
採用値 全国標準2.7円/kWh(原平均2.6822円を切り上げ)
2026/08/23


